うつ病歴10年以上のおじさん、寄道です。

今回、「うつ病の人にどのような声掛けをした方が良いのか」みたいなことを自身の経験からご紹介したいと思います。

初めに結論を申しますと「頑張って!」と言ってくる人でも、信頼している人からはOKです。

あくまで個人の考えにはなりますが、メンタル疾患を抱えている人との付き合い方の参考になれば幸いです。



「頑張って!」がNGな理由


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よく聞く話ですが、うつ病やメンタル疾患の方に「頑張ろう!」だとか「もっとチャレンジしよう!」みたいな言葉かけは注意が必要です。

私自身経験してきたのですが「もうすでに、こんなに頑張ったのまだやらされるのか」だとか「色々自分なりに頑張っているのに、周りは認めてくれない」などと感じてしまうんですね。

イメージとしては頑張って勉強し、テストを受けた結果80点だった。周りから見るとそこそこ良い点数だし、今の自分では十分に頑張った。でも厳しい親から「まだまだ頑張れるはずだ!」と言われる感覚です。

なので、非常に煩わしいし、気持ちがささくれ立ちます。

このため、一般的にはうつ病者の方を励ます(言葉としては「叱咤激励」の方が個人的に合っていると思う)という行為はNGとされています。


言葉よりも、関係性が大切


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しかし、「頑張って!」のような励ます言葉ですが、私は相手によってはむしろ「ありがとう」と思えます。

これは相手との関係性による違いだと思っています。

<励ましの言葉がありがたい相手>
  • 充分に信頼関係がある相手

  • 自分の状態を理解してくれて、手を差し伸べてきてくれている人

  • 「一緒に」がんばっていこう、という感じで接してくれる人

<励ましの言葉が嫌な相手>
  • 信頼関係が無く、苦手を感じている相手

  • 日常的に発言が粗野で、他人への配慮が無さそうな人

  • ロクにこっちの状態を知らない状態で、「頑張ろう」という人

このため、例えば妻に「頑張ろう」と言われたらやる気がでますが、職場のお局様に「みんなも頑張ってるから、あなたも頑張れ」と言われたら嫌悪感が出ます。


精神論者が苦手になった


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私自身、「頑張れ」だとか「もっと他の人のようにやっていこう」などの言葉で傷ついてきました。

その結果、私から他人に「頑張ろう!」「もっとやれ」みたいなことは言わないようになりました。

自分が言われたことは言わない。ただ、それだけですね。

なので、やたら「もっと頑張れ」だとか「もっと注意して」等の言葉を使ってしまっている人がいると「あぁ。この人は精神論者だから、自分は合わないな」と思ってしまいます。

「頑張るためにどうすればいいのか」「注意するためにどんな仕組みを作ればいいのか」そんなことが大切なはずなのに、ただ精神論を押し付けてくる言葉が苦手です。

なので、精神論みたいなものを振りかざしてくる相手を良くも悪くも遠ざけるようになる気がします。



メンタル疾患の人とのコミュニケーションはセリフよりも関係


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上述してきました通り、私は「言葉」の内容よりも「相手との関係性」が非常に大事になってくると思っています。

そして、「関係性」を作っていく上で言葉選びは最低限は配慮が必要である。そう感じています。

では、どのような関係性や言葉を選んでいけば良いのか、私の考えを記載しておきます。

  • 叱咤激励や他人に要求するような言葉は控える
    うつ病でなくとも「叱咤激励」は時代に合わなくなってきた言葉ですし、色々要求される(もっと頑張れ、仕事しろ、家事しろなど)ことは不快なことが多いと思います。子供の頃、親から色々言われたときに嫌だったのと同じですね。そしてそのような言葉かけをした結果、相手がどのように感じてどのように効果があるのか考えることが大切です。きっと「叱咤激励」をしたところで、人はげんなりとするだけです。

  • 良い関係性は非言語のところに滲み出る
    人間のコミュニケーションは非言語(身振り手振り、表情、声音など)から相手に伝わります。このため、同じ「頑張れ」でも全然印象が変わってきます。そして、相手と良い関係性を作りたいのであれば、非言語部分にも注意が必要です。相手と話している時にスマホを見ていたり、怖い表情で話してくれば、それは嫌になります。よい関係性を作るのであれば、言葉だけでなく全身を使って相手とコミュニケーションしましょう。

  • いきなり伝えるのではなく、長い目で関係性を作る
    人間、自分の嫌な情報や知りたくないことは聞きたくないものです。嫌いな相手から、一方的にアドバイスを貰ったところでさらに嫌いになってしまいます。このため、伝えたいことがあるのであれば、長い目線で信頼関係を作ってから話すようにしましょう。そしてそれが出来ないのであれば、無理に相手にアドバイスのようなこと(叱咤激励など)はしない方が無難だと思います。

<総括>

  • 「頑張って」が嫌なのはさらに追い詰められる言葉だから辛い
  • 言葉の内容だけでなく、信頼関係が大切
  • 信頼関係を作るために、非言語(身振り手振り、声音、表情など)も大切
  • 信頼関係が無いのであれば、叱咤激励のような言葉は使わない方が無難

最後に注意が必要だと思って追記してます。一方的な勘違いの「信頼関係」に気を付ける必要があると思います。「自分は親なのだから」「自分は上司なのだから」などで信頼関係が本当にあるものでは無いです。その点だけは注意して頂きたいと思います。